ルームメイト1
※2人とも欧米のどこかへ留学中、成人で大学生というパラレルです。
※色々あって、ルームメイトで既に恋人同士、できあがってます。
※書いてる人は留学経験など無いのでまぁ、色々捏造です。
※上記、OKな方のみどうぞ。
「皆さん酷いんですよっ!
私とサディクさんが並んでると子供と大人みたいとか犯罪とか!
どーせ私はチビで童顔でやせっぽちですよ!
でも好きでこんなんじゃないんですからっ私だってなれるもんならセクシーな大人の男になってサディクさんを押し倒したいですよ!」
互いにバイトがない曜日は待ち合わせして帰宅するのが日課の俺たち。
なんか様子がおかしいから(マフラーを鼻が隠れるくらいすっぽり巻いて、いつも俺の袖を掴む右手をしっかり握りしめていたからだ)道すがら尋ねてみても首をふるばかりの菊さん。
目元が赤い彼の様子に、外で泣かせるわけにゃいかねえとその場は堪えて、帰り着き扉を閉めるなり抱きしめてキスした。
そうして抱き合ったままソファーの上で、どうしたのか教えて欲しいと口説きに口説けば…まあ、そういうことらしい。
泣きそうな赤い目元と思っていたら、頬まで赤くして、どうやら思い出して怒ってただけみてえだな。
ほっとした。
清潔感のある真面目な日本人は人気がある。
特に菊さんのようにキュートで面倒見のいい男は友人としてルームメイトとして、一部の連中には恋人として、かなりモテる。
学生の身で補講講師まで務める彼は顔も広く、引く手数多だ。
そんな彼を親友たち以外ではかなりの頻度で独占し、今は恋人の地位までいただいてるのが俺、サディク・アドナンだ。
以前は精々マメに顔を出し菊さんをひっぱりまわしては、菊さんの親友2人(か義兄)に追い出されていた連中が、どーも遠回しに俺の悪印象を菊さんに吹き込むテできたらしい。
自分の印象を悪くせず、俺と菊さんを引き離したいってのはわかりやすいが、生憎ピュアな菊さんには遠回しすぎて効かなかったらしいな。
ざまあみろぃ。
連中の前から菊さんのことを可愛い可愛いと構っていたのが仇になり、菊さんはからかわれたと思っているらしい。
「あいつら、からかって面白がってるだけですぜ。」
冷えて赤くなっていた菊さんの鼻先をツンとつつけば
「わかってるけど悔しいんですっ!」
と、しがみついてくれた。
うーん、素面で大胆な菊さんは貴重だぜ。
菊さんからってーと、精々後ろから抱きついてくれんのがセキの山だってのに。
連中に礼を言うべきか少し悩むな、こりゃ。
うー、と自分の腕の中でむくれて唸っている菊の頭をよしよしと撫で、すりすりと頬ずりする。
「いいじゃねえですか、言わせとけば。」
「でも、サディクさんより私の方がおじさんなのに…サディクさんがオッサンとか犯罪者とか言われるの許せません。」
悪友や弟に言われなれた単語を耳にしてサディクは、クッと苦笑する。
「オッサンてーのはいつもの事でさ。第一菊さんが怒ってくれんだから、俺はもう充分気が済んでますぜ。」
ちゅ、と頭のてっぺんにキスをすれば、ぐりぐりと菊が頭を摺り寄せる。
「サディクさんは心が広すぎますー…もー……そういうとこも好きですけどー…。」
「そりゃ良かった。」
サディクがにこりと笑えば、菊はもうっと声をあげてサディクの首に手をまわし恥ずかしそうに見つめてきた。
「サディクさんは、かっこよすぎます。これじゃ本当に私よりサディクさんの方が大人みたいじゃないですかっ。」
「すいやせん。」
「許しません、ずるいです反則です、おしおきです、ハグの刑です。」
一息にまくしたてるなり、菊は自分の胸にサディクの頭をぎゅうと抱え込んだ。
「そんなにかっこいい人は離してあげません。」
「そりゃ嬉しいな。」
菊の胸から伝わる鼓動にサディクはうっとりと目を閉じる。
こんな罰なら喜んでだ。
「他の誰にもあげません、見せません、減っちゃいます。」
あっはっは、とサディクは笑った。
「減りやしませんぜ、こんなでっかいの。」
「ダメです、減るんです。」
顔を上げれば、唇をとがらせた菊と目が合った。
普段は、おっとりとした大和撫子なのに、感情的になると本当に子供みたいで可愛らしい。
「減りやしませんよ、全部あんたのです。」
「うう、またかっこいいこと言いましたね。」
「かっこいいですかい?」
嬉しい事を言ってくれるお返しに、菊の頭を寄せて唇に音をたてて吸い付いた。
ちゅっと触れれば、菊の方からもちゅっと返される。
「かっこいいですよ…もう、悪い人ですねっ。」
がばっと、体重の全部を預けて押さえ込まれるように抱きしめられた。
もちろん、サディクは少しも重いとは思わない。
「菊さんこそ、可愛いことばっかり言ってますぜ。」
「言ってないですよ、私は怒ってるだけです。」
「いーや、言ってますぜ、めちゃくちゃ可愛いこと。そりゃあもう、反則もんです。」
「…ハグの刑、ですか?」
ふふふ、とサディクの胸の上で菊は笑う。
しなだれかかる色気に、いますぐかぶりつきたくなった。
「残念、ベッドに直行軟禁の刑でさ!」
うりゃっと、両腕で菊さんを担ぎ上げれば、きゃーっと笑ってしがみついてくれた。
「今夜は寝かしませんぜ?」
「私だって、まだおしおきしたりませんよ?」
ベッドが待ちきれずに、寝室のドアに手をかけながら舌をからめて口付け合った。
ベッドに下ろして唇を離せば、菊さんはペロリと唇を舐めた。
その気になったあんたは、子供どころか、俺にとっちゃミスユニバースだって裸足で逃げ出すくらい色っぽいって事知らねぇでしょう?
服を脱ぐのも脱がせる時間だってもどかしい位なんだ。
でもまぁ、知らない方がいいのかもな、他の誰にも教えねえし。
もし他に知ってる奴がいたら、殺してやるぜ?
まったく菊さんは、可愛さも色気も罪深すぎて、堪らねえよ。