かぞくのうた


※日さまが先天性にょたです。

※1万hit御礼の土にょ日のその後っぽい感じで。

※というわけでパラレル認定。

※CD発売記念と言いつつ主役をにょた化ってどうよ。


※にょたな日様も好きだから見てやるんだゾ☆っていう優しい方は是非どうぞ。








「トルコさん、また聞いてらっしゃるんですか…」
風呂上りの上気した頬で呆れた顔をされても、トルコには少しも問題ない、むしろ大歓迎だ。
「そりゃぁ、記念すべき日本のデビュー曲だしなぁ。」
頬がますます緩む。
「トルコ、嬉しそう。」
日本に抱かれていた北キプロスがトルコの膝に乗りPCの画面をのぞきこむ。
「おう、嬉しいからなぁ。」
「北キプロスも聞く。」
「おう、半分な。」
小さな手にイヤホンをひとつ渡せば、だめですよ、と日本が北キプロスをタオルで覆った。
「まだ、お耳も髪も濡れてますからね。」

トルコの傍らに膝をついて、くすぐったがる北キプロスの両耳をくにくにと拭くと、その頭にくるりとタオルを巻きつけた。
「はい、いいですよ。」
「ありがとう、日本。」
「どういたしまして。」
羽織るものをとってきますね、と日本は奥へ行ってしまった。

ほの薄く桃色がかった肌が着物の胸元から覗きなかなか良いアングルだったなぁと、トルコの表情はもう笑み崩れることこの上なかった。膝の上にいる北キプロスには見えないものだから、表情はまったく締まらない。

「トルコ、北キプロスこの歌好き。」
「ああ、いい歌だなぃ。」
さすが日本だなぁ、と続ければ、こんもりとしたタオルの山がぽよんと上下する。
かと思えば、左右にゆらゆらとし始めた。
昼間も一緒に聞いた曲だから、もう覚えてしまったらしい。
一生懸命うたおうと、リズムにのりながら言葉を追いかけている。


冬の終わりに編み上げておいた小さな肩かけを手に、日本が居間に向かえばトルコと北キプロスの陽気な合唱が聞こえてくる。普段なら微笑ましいと思うところだが、それが自分の歌だとわかり途端に激しい羞恥に襲われる。一応トルコの方は声を押さえてくれているようだが、やはり恥ずかしい。

家庭内羞恥プレイでしょうかまったくもう…。

もちろん、嬉しくないわけでもないのだが、あのふたりの愛はとてもまっすぐで、恥じらいの国日本がスマートに受け止め流すのは大変なのだ。順応性はあるくせに、こういうものはいくつになっても慣れないのは何故だろうか。
でもまぁ、素敵な父子団欒に一役買えたなら良しとしなくては。
北キプロスが湯冷めをしては大変だ、と、恥ずかしさを振り切るように深呼吸をして日本は居間へ入った。

「日本も、一緒に歌う?」
「おお、そりゃあいい!」
「CD参加だけで堪忍してください…」


合唱は許してもらえたが、その夜から北キプロスへの子守唄は「恐れ入ります、すみません」と「日のいずる国ジパング」が定番になったとかなんとか。



「羞恥プレイにも程があります…。」
「いつものにすりゃいいじゃねえか。」
「仕方ないじゃないですか、私、あの子のおねだりには弱いんですもの…。」
ただでさえ子煩悩な日本、普段はしっかりした口調の冷静で大人びて見られる事の多い北キプロスに、『あのね…』なんておずおずと甘えられたら保護者としての使命感が羞恥心に買ったらしい。

「俺のおねだりも聞いてくれると嬉しいんだがねぇ」

ひょいと、華奢な身体を膝に乗せて抱き込めば、北キプロスと同じベビーパウダーの匂いがした。
「可愛い匂いだなオカーサン。」
頬にちゅっと口付けた。
「今度オトーサンにも付けてあげますよ。」
と日本は笑って頬に返してくれる。
昔とは違う、けれど、こういうのも悪くねえんだよなと今度は互いの唇を重ねた。




おしまい

09.05.31