※土にょ日夫婦です。
※日様が先天性にょたです。
※国表記ですがにょた化なので当然パラレル認定。
※1万hit御礼の続きでもそうじゃなくても大丈夫な感じです。
※ちょっとWW2的なウニャウニャがありますが
※いつも通り、ものっそいフィクションです。
いつか、いつか再び彼女を、世界の全てから守る盾となろうと。
敗戦国としての貧困、解体の危機を知るトルコからすれば日本の回復は目覚ましかった。以前と変わらず穏やかで優しくどこか鷹揚なひとびとは、劣等感と飢餓感のなかにも誇りを失わなかった。
罪人としての償いを強いた列強は、それでも日本を妻だと言うトルコを訝しみ憎しみを扇動しようとした。トルコの妻でなければ悪婦とも言えようその身を自由にも出来よう、誰がその手に乗るものかと、トルコは戦後の黒き世情に抗った。
そして日本はというと、むしろトルコと距離をおきたがった。声をかけるのはいつもトルコから、当然だろう、陣営が違うのだ、そして世界でトルコの発言力ももう強くはない。
公のなにがしかが終わる度、日本に近寄る自分への目を見れば、微笑むことすら躊躇いがちな彼女を見れば、何を考えているかなど一目瞭然だった。
なんて健気な嫁さんだい。
トルコの愛しさはいや増した。
大国の若造もトルコの養い子も、世間知らずなくせにまるで母のような眼差しで自分を見る日本を知っている。
彼女が支えとした唯一が誰かも、知っている。
傷つき悄然とし唯々諾々と全てに従う彼女を生かす為に、必要なものを知るのは容易かった。
若造はトルコへの気安さから、兄貴分ほか各国の抗議もなんのそのだ。
離婚してないんだしいいじゃないか一緒にいてもと、トルコが彼女のもとへ2つの戦前と変わらず通う事を止めなかった。
(そして自分も同じだけ入り浸っては、日本に甘えてトルコとプロレス技でじゃれあった。)
それは今も続いている。
大きなガキが出来たもんだと溜め息をつけば、日本も苦笑した。
甘やかしていると心配すれば、お説教に時折鉄拳制裁も繰り出して怒る日本の姿が近頃は度々見られた。
若造は唇をとがらかしてふくれながらも、嬉しそうに笑っている。
それを目の端に見たトルコも彼と顔を見合わせ笑いあって、ふたりしてまた日本に怒られた。
正座に励む足はもう限界だ。
日本の髪はまた、肩よりも長くなった。
眠る彼女の髪を撫でれば、ゆるく絡みあったそれらが自分の武骨な指をするりとぬけてほどけていく。
それは、甘え下手な彼女の表情の変化にも似てトルコは我知らず笑みを浮かべる。
かまって欲しいと控えめなサインでためらいがちに微笑んで、トルコが手を伸ばさなければ腕の中に引き留めておけない可愛いひと。
真暗の夜さえ月となり照らす、優しい優しい俺の太陽。
この腕に閉じ込めて、せめて夢の中だけは、ただ俺だけの君であるように世界の何にも傷つくことのないように。
穏やかな、とても穏やかな笑みを浮かべトルコは眠りに落ちていく。
自身も知らぬそんなトルコの顔を知るのは、彼の愛しい妻ただひとり。
寄り添い続ける理由はただそれだけで充分だった。
世界は広くて恐ろしい、けれど…それは、立つに充分な理由だった。
日本はただ、トルコを失いたくなかった。彼の庇護のもとずっと鎖国していられたならどんなにか幸せだったろう。
けれどそれが叶わぬ世界は、なんて広く恐ろしい。
いつしか変わる世情を時代を知った。
例え袂をわかってもと立った日本をトルコはそれでも見放さなかった。
世界の、彼の敵になっても、今までずっと…ずっとずっと彼の優しさばかりが自分を覆う。
彼は許すのだ全て受け入れて敵になる事すら許した。
優しいお月さま、と呼びながら、彼は同時に私の太陽なのだと知っている。
彼がいるから世界はまわる。私の世界は彼に守られている。
夢うつつ、瞼を開ければとても穏やかなトルコの寝顔。
起こさぬように、そっと体を寄せて彼の甘い花の香りに埋もれ眠る。
いつも、彼のまなざし彼のぬくもりを感じ、守られているのだと自惚れてしまうのはこの甘い香りのせい。
私を甘やかして蕩かして食べてしまいたいと、けれど失いたくないと彼が口付け抱きしめる度に鼻腔から脳髄まで繰り返し染みこんだこの香りのせい。
世界は広くて恐ろしい。
このまま彼の世界に抱かれて目覚めなければと、いっそ食べてしまってと、いつも思う。
けれど、あなたに出会えたこの世界。
この世界が、時々、酷く愛おしい。
東と西に離れ座すふたり
ああどうか世界が平和でありますように